訪問介護員が足りない、という話を聞くことが増えました。
でも、現場で働く人からすると、「人が足りない」と言われるたびに、もっと頑張れと言われているように感じることがあります。利用者さんは待っている。家族も困っている。事業所も回したい。そこに介護職本人の体力や生活が置き去りになると、しんどさはどんどん積み上がります。
この記事では、訪問介護員が足りない理由を、誰か一人のせいにせず、賃金、移動、一人勤務、責任、教育体制、サービス提供責任者との関係に分けて整理します。
先に見るポイントは、次の5つです。
- 訪問介護の不足は、介護業界全体の人手不足よりさらに重い
- 移動、キャンセル、短時間勤務が働きにくさにつながる
- 一人で利用者宅に入る責任と緊張がある
- 相談できる体制がないと、孤立しやすい
- 職場選びでは、サービス提供責任者の関わり方を見る
訪問介護員が足りない理由を数字で見る
訪問介護員が足りない理由を考えるとき、まず「なんとなく大変そう」ではなく、数字で現実を見ます。
介護労働安定センターの令和6年度介護労働実態調査では、事業所全体で従業員が不足していると感じる割合が65.2%とされています。さらに、訪問介護員は不足感が特に高い職種として扱われています。これは、現場の誰かが弱いというより、構造として人が集まりにくいということです。
介護全体で人が足りていない
まず、介護全体で人手不足があります。施設でも、デイサービスでも、訪問でも、人が足りないという感覚は珍しくありません。
ただ、同じ人手不足でも、施設と訪問介護では負担の出方が違います。施設では複数人で働く時間が多い一方、訪問介護では一人で利用者宅に入り、限られた時間の中で判断する場面が多くなります。
訪問介護は一人勤務の重さがある
訪問介護は、利用者さんの家に一人で入ります。体調の変化、転倒リスク、家族とのやり取り、予定外の頼まれごと。小さな判断が積み重なります。
もちろん事業所に報告や相談はできます。それでも、その場にいるのは自分一人です。この緊張感が合う人もいますが、合わない人にはかなり重く感じます。
移動時間が働きにくさになる
訪問介護では、利用者宅から利用者宅へ移動します。自転車、車、徒歩、公共交通機関。地域によって移動の負担は大きく変わります。
移動時間の扱い、交通費、待機時間、キャンセル時の給与があいまいだと、働いている時間のわりに収入が安定しにくくなります。求人票では時給が高く見えても、移動や空き時間を含めると実感が違うことがあります。
短時間の仕事が細切れになりやすい
訪問介護は、30分、45分、60分など短いサービスが組み合わさることがあります。午前に1件、昼に空き、午後に2件、夕方に1件というように、勤務が細切れになることもあります。
この働き方が合う人もいます。家事や育児と両立しやすい面もあります。ただ、収入を安定させたい人にとっては、移動と空き時間が多いほど厳しくなります。
身体介護と生活援助の両方がある
訪問介護には、身体介護と生活援助があります。排泄介助、入浴介助、移乗、食事介助のような身体介護もあれば、掃除、調理、買い物などの生活援助もあります。
生活援助だけなら楽、というわけでもありません。利用者さんの家ごとのルール、家族との距離感、時間内に終わらせるプレッシャーがあります。身体介護が多い日は、腰や肩への負担も大きくなります。
責任の割に評価されにくい
訪問介護は、利用者さんの生活を支える大事な仕事です。それでも、外からは「家に行って手伝う仕事」と軽く見られることがあります。
実際には、観察、判断、報告、記録、家族対応、ケアマネジャーやサービス提供責任者との連携が必要です。責任が重いのに、評価や賃金が追いつかないと、続ける気力が削られます。
訪問介護員が足りない理由を職場選びに生かす
訪問介護員が足りない理由を知ることは、ニュースを読むためだけではありません。これから訪問介護で働くか迷っている人にとっては、職場選びの確認ポイントになります。
人手不足そのものは、あなた一人で解決できません。ただ、「不足を個人の我慢で埋める職場」なのか、「不足していても支える仕組みを作ろうとしている職場」なのかは、見学や面接で確認できます。
サービス提供責任者の関わりを見る
訪問介護では、サービス提供責任者の関わり方がとても大事です。同行、指導、相談、利用者さんとの調整、ヘルパー同士の情報共有。ここが弱いと、訪問介護員が一人で抱えやすくなります。
令和6年度介護労働実態調査でも、訪問介護・サービス提供責任者が調査トピックスとして取り上げられています。サービス提供責任者が訪問介護員に対してコミュニケーションや指導を行っていると、離職率が低いという方向の結果も示されています。
同行研修があるか聞く
訪問介護の職場を選ぶなら、「入職後は何回くらい同行がありますか」「初回訪問は誰と一緒に行きますか」「不安な利用者さんの場合、再同行はできますか」と聞きます。
いきなり一人で行かされる職場は、経験者でも不安が大きくなります。同行研修の回数だけでなく、不安が残ったときに相談できるかが大事です。
困ったときの連絡体制を見る
利用者宅で困ったとき、すぐに連絡できる体制があるかを確認します。「訪問中に判断に迷ったときは、誰に連絡しますか」「夜間や休日の緊急連絡はどうなっていますか」と聞きます。
連絡先があるだけでは不十分です。実際に相談しやすい空気があるか、報告したあとに責められないか、対応を一緒に考えてくれるかが続けやすさに関わります。
移動とキャンセルの扱いを聞く
訪問介護の求人を見るときは、時給だけでなく移動時間とキャンセル時の扱いを聞きます。「移動時間は給与に含まれますか」「交通費はどう支給されますか」「当日キャンセルのときはどうなりますか」。
ここがあいまいだと、予定は空けているのに収入が安定しないことがあります。訪問介護で長く働くなら、移動とキャンセルの扱いはかなり大事です。
担当件数とエリアを聞く
担当件数とエリアも確認します。「1日に何件くらい訪問しますか」「移動エリアはどの範囲ですか」「苦手なケースがある場合は相談できますか」と聞きます。
訪問件数が多いだけでなく、移動距離が長い、時間が詰まりすぎている、急な代替が多いと疲れやすくなります。件数とエリアはセットで見てください。
訪問介護が合う人もいる
訪問介護は大変な仕事ですが、合う人には合います。一対一で関われること、利用者さんの生活の場に入れること、施設の集団ケアとは違う深さがあります。
大事なのは、「訪問介護はしんどいからやめた方がいい」と決めつけないことです。支援体制がある職場なら、施設より合う人もいます。逆に、一人で抱えさせる職場なら、どれだけやりがいがあっても続きにくくなります。
面接で聞く質問に変える
訪問介護員が足りない理由を知ったら、それを面接で聞く質問に変えます。「同行は何回ありますか」「困ったときは誰に連絡しますか」「移動時間とキャンセル時の扱いはどうなっていますか」。
質問することは失礼ではありません。自分の体と生活を守るための確認です。聞き方に迷う人は、介護職の面接で聞いていい質問もあわせて見てください。
職場にも家族にも言いにくく、辞めたいのか、休みたいのか、ただ不安を聞いてほしいのか分からないときは、相談先を分けておくと少し楽になります。労働条件は公的窓口、体調は医療やこころの相談、気持ちの整理は電話占いを含む相談先の整理というように、役割を分けて使ってください。
訪問介護員が足りない理由のまとめ
訪問介護員が足りない理由は、賃金だけではありません。移動時間、一人勤務、短時間の仕事、キャンセル、身体的負担、責任の重さ、相談体制の弱さが重なっています。
人手不足を、あなた一人の根性で埋める必要はありません。訪問介護で働くか迷うなら、求人票、見学、面接で「一人にしない仕組み」があるかを見てください。介護全体の人手不足については、人手不足でもう限界もあわせて読むと整理しやすくなります。誰にも話せず気持ちが固まらないときは、電話占いなどの相談先も、判断を丸投げしない範囲で使えます。
参考にした公的情報
- 介護労働安定センター 介護労働実態調査:令和6年度調査の人手不足、採用・離職、訪問介護に関する調査結果
- 厚生労働省 介護職員の処遇改善:介護職員等処遇改善加算の制度概要
次の一手
訪問介護の求人を見るときは、時給だけで決めず、移動時間、キャンセル時の扱い、同行研修、連絡体制を確認してください。そこが見えると、続けられる職場かどうかが少し判断しやすくなります。