退職を決めたあと、多くの人が気になるのが「残っている有給休暇は、使い切って辞められるのか」です。人手不足の職場では「今は休めない」「消化させない」と言われることもあり、ここで一人で悩みやすくなります。

この記事では、有給休暇の基本的なルールと、最終出勤日の決め方、断られたときの相談先を順番に整理します。

先に結論。

  • 退職日までに使う有給は、原則として本人が決めた日に取れる
  • 会社が日にちを変えられる権利(時季変更権)は、退職日を超えては使えない
  • 使い切れなかった分の「買い取り」は、会社に義務づけられていない
  • 断られたら、記録を残して総合労働相談コーナーへ

まず、自分の有給が何日残っているかを確認する

給与明細や勤怠システム、就業規則で、付与日と残日数を確認します。分からないときは、総務や上司に「有給の残日数を教えてください」とだけ聞けば十分です。理由を聞かれても、退職の話と切り離して構いません。

有給休暇のルールの基本(厚生労働省の説明をもとに整理)
項目内容
もらえる条件雇い入れから6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤していること
日数最初は10日。その後は継続勤務1年ごとに増え、最大で年20日
パート・短時間週の所定労働日数が少ない人も、日数に応じて付与される(比例付与)
使える期間(時効)発生した日から2年間
年5日の取得年10日以上付与される人には、会社が年5日を取らせる義務がある

退職日と最終出勤日は、別に決められる

有給を使って辞める場合、「退職日」と「最終出勤日」は別の日になります。最終出勤日から退職日までの間を、有給の消化に当てます。

  1. 1残日数を確認する例:残り10日
  2. 2退職日を決める就業規則の申し出期限と、次の仕事の開始日をふまえる
  3. 3最終出勤日を逆算する退職日から、勤務する予定だった日を10日分さかのぼる
  4. 4引き継ぎを最終出勤日までに終える引き継ぎは有給に入る前に済ませておく

シフト制の介護職は、「休みの日」ではなく「勤務する予定だった日」に有給を当てます。夜勤の入る人は、夜勤の日数も含めて数えてください。

退職日までに引き継ぎの時間を確保したいなら、退職前の引き継ぎの記事も先に読んでおくと、最終出勤日を決めやすくなります。

「今は休めない」と言われたら

会社には、有給を取る時季が「事業の正常な運営を妨げる」場合に、ほかの日に変えてもらう権利(時季変更権)があります。ただし、退職日を過ぎると有給の権利そのものが消えてしまうため、退職日までの日にちを変えようがない場合は、使用者が時季変更権を使えないとされています。

言われること対応の例
「人手不足だから、有給は取らせられない」「退職日までの日程で、有給を取る予定です」と日付を示して伝える。その場で言い争わない
「引き継ぎが終わってから」引き継ぎの計画を先に出し、最終出勤日を提示する
「有給は消化させず、買い取る」会社に買い取る義務はなく、本人が応じる必要もない。取りたい場合は日付を書面で残す
「退職日をずらしてくれ」次の仕事や手続きの都合を理由に、書面で退職日を確認する

それでも認められないとき

  1. 申請した日付、相手、言われたことをメモや書面で残す
  2. 就業規則の有給の条文を確認する
  3. 都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談する(無料)
  4. 賃金の支払いが絡む争いになりそうなら、弁護士や労働基準監督署に相談する

連絡すること自体がつらいときは、辞めさせてもらえないときの対処法や、退職代行の比較も参考にしてください。

体調が限界のときは。有給を使い切るかどうかより、体を休めることが先です。通院が必要なら、受診して医師の診断を受けてください。休職や傷病手当金のしくみは、退職前のお金・手続きの記事で確認できます。

よくある質問

退職日までの有給は、全部使い切れますか?

原則として、退職日までの日に本人が希望すれば取れます。会社が日を変えられる権利は、退職日を超えては使えません。ただし、実際の運用は職場によって差が出ます。断られたときは、記録を残して総合労働相談コーナーへ相談してください。

使い切れなかった有給は、お金で買い取ってもらえますか?

会社には買い取る義務はありません。買い取りは会社が任意に決める制度です。残日数が多いときは、退職日と最終出勤日を調整して、消化する方向で考えるほうが確実です。

パートでも有給はありますか?

あります。週の所定労働日数が少ない人も、日数に応じて有給が付与されます。条件は、6か月以上続けて働き、全労働日の8割以上出勤していることです。

有給の残りは、いつまで使えますか?

発生した日から2年で時効になります。退職日を過ぎると権利そのものがなくなるため、退職日までに使う計画を立てることが大切です。

本記事は一般的な情報整理を目的とし、個別の法律相談ではありません。契約や紛争の判断は公的窓口・弁護士等へ確認してください。2026年10月時点の情報です。