辞めると決めたとき、気がかりなのは「利用者さんに迷惑をかけないか」「どこまで引き継げばいいのか」ではないでしょうか。責任感が強い人ほど、引き継ぎを背負いすぎて、退職の日が決められなくなります。

この記事では、引き継ぎで書く内容と、持ち出してはいけないもの、時間が足りないときの考え方を整理します。

引き継ぎの3つの基本。

  1. 引き継ぎは「職場が用意した様式・場所」に残す
  2. 利用者さんの情報は、写真・コピー・メモでも持ち出さない
  3. 後任が決まるまで辞められない、という条件は一人で背負わない

引き継ぎで残すもの

項目書く内容の例
担当している利用者さん担当の一覧、特に注意が必要な点(転倒リスク、嚥下、服薬など)。職場の記録様式にある内容を最新に
毎日・毎週・毎月の業務時間帯ごとの流れ、月次の書類の締め切り、担当している係や委員会
家族・関係機関とのやり取り連絡の頻度、最近のやり取り、次回の予定(職場の記録として)
鍵・端末・備品預かっているものの一覧と返却先
未完了の仕事期限と現在の状況、次に誰が何をするか

持ち出してはいけないもの

介護福祉士などの資格を持つ人は、社会福祉士及び介護福祉士法で、仕事で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らしてはならず、介護福祉士でなくなったあとも同じ義務が続くと定められています。資格の有無にかかわらず、利用者さんの情報は、退職後も外に出さないのが基本です。

引き継ぎを終わらせる手順

  1. 1やることを書き出す担当・業務・書類・備品の4つに分けて一覧にする
  2. 2上司と優先順位を決める「全部」は無理なので、利用者さんの安全に関わるものから
  3. 3職場の様式で書く記録・申し送り・引き継ぎ書など、職場が決めた場所に残す
  4. 4後任に口頭で伝える後任が未定なら、チームの全員が見られる場所に残す
  5. 5最終出勤日までに終える有給に入る前に済ませる(有給の記事)

後任が見つからないと言われたら

引き継ぎを整えることはできますが、後任を採用するのは職場の責任です。「後任が決まるまで辞めさせない」という条件を、一人で引き受ける必要はありません。引き止められたときの手順は、辞めさせてくれないときの対処法にまとめています。

引き継ぎの時間が足りないと感じたら、退職の意思を伝える時期を、もう少し早めにするのも方法です。切り出し方は退職の伝え方の記事を参考にしてください。

体調が限界のときは。引き継ぎを完璧にすることより、自分の体を守ることが先です。出勤が難しいときは受診し、職場に連絡してください。

よくある質問

引き継ぎ書は、自分のパソコンやスマホにも残していいですか?

利用者さんの情報が含まれるものは、持ち出さないのが基本です。引き継ぎの内容は、職場が用意した様式や保管場所に残してください。自分の備忘のために残したいときは、利用者さんが特定できない内容だけにします。

引き継ぎが終わらないまま、退職日が来そうです。

やり残しの一覧を作り、上司に渡して、誰が引き継ぐかを確認します。後任の採用や引き継ぎの体制をつくるのは職場の責任なので、一人で背負わなくて構いません。

退職したあとに、職場から連絡が来たら応じないといけませんか?

退職後は、原則として職場の業務を続ける義務はありません。引き継ぎで分からないことの確認程度なら、応じるかどうかは自分で判断できます。強い要求が続くときは、総合労働相談コーナーに相談してください。

有給を使いたいのですが、引き継ぎはどうなりますか?

引き継ぎは最終出勤日までに済ませ、その後を有給の消化に当てるのが基本です。最終出勤日を決めてから、引き継ぎの計画を立てると進めやすくなります。

本記事は一般的な情報整理を目的とし、個別の法律相談ではありません。契約や紛争の判断は公的窓口・弁護士等へ確認してください。2026年10月時点の情報です。