介護現場のハラスメント、声を上げる方法
介護の現場には、口にしにくいけれど、確かにある問題があります。ハラスメントです。利用者さんや家族から、あるいは同僚や上司から。看護師として現場にいると、介護職がこの問題でひとり傷ついている場面を、私は何度も見てきました。つらい思いをひとりで抱えている人へ、声を上げるための道筋を書いておきます。
「利用者さんから何度も体を触られても、『介助のうちだから』と、誰にも言えなかった」
それは「あなたのせい」ではない
まず、いちばん大事なことから。暴言、暴力、セクシュアルな言動、理不尽な要求。これらを受けたとき、「自分の対応が悪かったのかも」と思ってしまう人が、とても多い。でも、違います。ハラスメントは、受けた側の問題ではありません。
ハラスメントには種類がある
女性の職員が、男性の利用者さんの介助に入るたびに、体を触られ、際どい言葉をかけられる。「これも介助のうちだから」と、誰にも言えないまま飲み込んでいる。私が見聞きしてきたなかでも、特に多い形のひとつです。
利用者さんや家族からのもの。そして、同僚や上司からのもの。認知症の症状による言動と、ハラスメントは切り分けて考える必要がありますが、「症状だから我慢して当然」ということにはなりません。どちらの場合も、あなたが黙って傷つく必要はありません。
まず「記録する」
声を上げるとき、いちばん力になるのが記録です。いつ、どこで、誰から、何をされたか。短いメモで構いません。記憶はあいまいになっていきます。書き残した記録は、あとであなたを守る材料になります。
相談先は、ひとつではない
職場の上司や管理者。法人のハラスメント相談窓口。それでも状況が動かないなら、外部の窓口もあります。各都道府県の労働局や、労働基準監督署など、職場の外にも相談できる場所があります。ひとりで抱え込まず、「相談していいことなんだ」と知っておいてください。
職場が向き合わないなら、それも判断材料
声を上げても、職場がきちんと向き合わない。そういう職場も、残念ながらあります。そのときは——その事実を、転職を考えるための材料にしていい。あなたの安全を守れない職場に、居続ける義務はありません。
ハラスメントを我慢することは、仕事の一部ではありません。声を上げることは、わがままではありません。あなたが安心して働ける場所は、ちゃんとあります。
