辞めると決めたあと、いざ退職届を書こうとすると、「宛名は誰にするのか」「日付はいつにするのか」「理由はどこまで書くのか」と手が止まりやすくなります。介護の現場は忙しく、誰かに聞く時間もなかなか取れません。
この記事では、退職届の書き方を項目ごとに整理し、そのまま使える文例を3つ載せます。口頭での切り出し方は退職の伝え方に、引き止められたときの対処は辞めさせてくれないときの対処法にまとめています。
先に結論:退職届に書くのは6つだけ。
- 題名(「退職届」)
- 退職の意思と退職日(具体的な日付)
- 理由(「一身上の都合」でよい)
- 提出する日付
- 所属と氏名(署名・押印)
- 宛名(運営法人の代表者など)
退職届の項目別の書き方
退職届の書式は、法律で決まった様式があるわけではありません。会社に指定の様式や就業規則の決まりがあれば、それに合わせます。ない場合は、次の表のとおりに書けば足ります。
| 項目 | 書き方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 題名 | 中央に「退職届」 | 「退職願」と書くと、申し出の性格が強くなる |
| 本文の書き出し | 「私儀(わたくしぎ)」と書き、改行して本文へ | 「私事」でも通じる。会社の様式があればそれに従う |
| 退職日 | 「令和○年○月○日をもって退職いたします」 | 「○月末」ではなく、具体的な日付にする。有給を使い切る日までを退職日にするか、先に決める(有給の記事) |
| 理由 | 「一身上の都合により」 | 職場への不満を書かない。書くほど引き止められやすくなる |
| 提出する日付 | 実際に渡す日の日付 | 後から日付を書き換えない。退職日より前の日付にする |
| 所属・氏名 | 施設名・部署・氏名を書き、署名(自筆)と押印 | 印鑑は認印でよいことが多い。会社の指示があればそれに従う |
| 宛名 | 運営法人の代表者名(例:「○○株式会社 代表取締役 △△ 殿」) | 施設長に渡すだけでも、宛名は法人の代表者にするのが一般的。分からないときは総務に聞く |
そのまま使える文例3つ
文例①:基本の退職届
退職届
私儀
このたび一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
令和○年○月○日
(施設名・部署) (氏名) 印
○○株式会社 代表取締役 △△ 殿
文例②:会社に指定の様式がある場合
「退職届は所定の用紙で」と言われたら、その用紙に合わせます。用紙の欄が足りなくても、書くのは退職日と「一身上の都合」だけで構いません。口頭で言われただけで様式が分からないときは、就業規則の「退職」の項目を確認し、人事・総務に様式の有無を聞いてください。
文例③:郵送で出す場合(添え状つき)
令和○年○月○日
○○株式会社 代表取締役 △△ 殿
(氏名)
退職届の提出について
私は、同封の退職届のとおり、令和○年○月○日をもって退職いたします。ご確認くださいますようお願い申し上げます。
同封:退職届 1通
郵送するときは、内容証明郵便や配達証明を使うと、いつ何を送ったかを記録に残せます。コピーは必ず手元に残してください。
手書きかパソコンか、封筒はどうするか
| 迷うこと | 考え方 |
|---|---|
| 手書きか、パソコンか | 法律で手書きと決まっているわけではない。会社の指定があればそれに従い、なければ読みやすい形で作る。署名は自筆にしておく |
| 用紙 | 白い無地の用紙が一般的。A4なら三つ折りにして入れる |
| 封筒 | 白い無地の封筒が一般的。表に「退職届」、裏に所属と氏名を書く。糊づけして、封をする |
| 黒か青か | 黒のペンが一般的。消えるタイプのペンは避ける |
出す前の確認チェックリスト
| 確かめること | 見る場所 | メモ |
|---|---|---|
| 申し出の期限 | 就業規則の「退職」の項目(「1か月前まで」など) | |
| 退職日と有給の残り | 給与明細・勤務表 | |
| 契約の種類 | 雇用契約書(期間の定めの有無) | |
| 誰に渡すか | 就業規則の退職手続き、上司に確認 | |
| 引き継ぎの範囲 | 担当利用者さん、書類、鍵・備品 | |
| コピーを取ったか | 渡す前に写真かコピーを残す | |
| 渡した日と相手の記録 | 手帳やメモに、日付と相手の名前 |
期間の定めがない雇用では、法律上は申し入れから2週間で雇用が終わるとされています。ただし就業規則に別の期限があることが多いので、円満に辞めたいなら、先に就業規則を確認してください。詳しくは辞めさせてくれないときの対処法にまとめています。
出したあとの流れと、受け取ってもらえないとき
- 1渡す口頭で伝えたうえで、退職届を手渡す。コピーを残す
- 2記録する渡した日と相手、そのときの返事をメモに残す
- 3引き継ぎをする退職日までの勤務と、引き継ぎの内容を確認する
- 4書類を受け取る離職票、源泉徴収票など。退職前のお金・手続きで確認する
受け取ってもらえないときは、郵送に切り替え、内容証明郵便や配達証明で記録を残します。それでも進まないときは、総合労働相談コーナーに相談してください。職場への連絡そのものが難しいときは、通常の手順と公的窓口を確認したうえで、退職代行の比較も検討できます。
なお、退職届は一方的な意思表示とされ、出したあとの撤回は難しい場合があります。迷いが残っているときは、出す前に決めてください。
よくある質問
退職願と退職届は、どちらを出せばいいですか?
確実に一定の日で退職したいなら、退職の意思をはっきり書いた退職届が無難です。退職願は「辞めさせてほしい」という申し出の性格が強く、会社が受け入れてから成立すると受け取られやすくなります。
退職届は手書きでないといけませんか?
法律で手書きと決まっているわけではありません。会社に指定の様式や就業規則の決まりがあればそれに従い、なければ読みやすい形で作れば足ります。署名は自筆にしておくと、本人が書いたことが分かりやすくなります。
退職理由は詳しく書くべきですか?
「一身上の都合」と書けば足ります。職場への不満を細かく書くと、改善を条件に引き止められやすくなります。
退職届を受け取ってもらえないときはどうすればいいですか?
提出した日と相手を記録したうえで、郵送に切り替えます。内容証明郵便や配達証明を使うと、いつ何を送ったかを残せます。それでも進まないときは、総合労働相談コーナーに相談してください。
本記事は一般的な情報整理を目的とし、個別の法律相談ではありません。書式や手続きは会社の就業規則で異なります。契約や紛争の判断は公的窓口・弁護士等へ確認してください。2026年10月時点の情報です。